≪漣(さざなみ)≫
青時雨の中、琵琶湖畔にある佐川美術館を訪ねた。数週間前、nhkテレビ『日曜美術館』で取り上げられた、彫刻家の佐藤忠良展が目的である。周囲の緑が鮮やかで水庭を一層美しく感じさせる。茶室前の水庭には、葦であろうか?
漣は心を非日常の世界へと誘う。
番組では『おおきなかぶ』に関心を持った。ロシアの童話で挿絵を佐藤氏が描いている。
おじいさんが かぶを うえました。
「あまい あまい かぶになれ。
おおきな おおきな かぶになれ」
あまい げんきのよい とてつもなく おおきい
かぶが できました。
おじいさんは かぶを ぬこうと しました。
うんとこしょ どっこいしょ
ところが かぶは ぬけません。
おじいさんは おばあさんを よんできました。
うんとこしょ どっこいしょ
それでも かぶは ぬけません。
中 略
まごがやってきて、 まだ まだ かぶは ぬけません
そして、いぬ、ねこ、ついにねずみがやってきて
やっと かぶは ぬけました!!
(『おおきなかぶ』A.トルストイ再話
内田莉莎子訳 佐藤忠良画 より)
ここでは、犬は猫に助けを求めます。勇気があるなぁ!
猫も一生懸命引っ張ります。猫もえらいなぁ!!
次に猫はネズミに助けを求めます。勇気があるなぁ!!!
小さなネズミは尻尾を猫の尻尾に巻き付け、一生懸命に引っ張ります。えらいぞぉ!!!!
小さなネズミが加わって やっと蕪を抜くことができたのです。
みんなが力を合わせて、大きな蕪を抜くことができたのです。
おじいさんとおばあさん、孫、犬と猫、猫とネズミ。みんな大きな蕪を抜くことに一生懸命で、一つになりました。
猫だってネズミの力を借りたい時もあるし、オチビのネズミも大きな役に立って嬉しそう。
その後、みんなで大きな蕪をいただいたことでしょう。
私たちも勇気をもってヒトやモノに向かい、一つになって大きな蕪を抜くことに一生懸命になりたいですね。
青時雨降る水庭の漣が拡がるのを見ながら、ふと、こんなことを思った。
2012年7月1日
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[皆既日食]
ヨーガの一番の目的は、心が変化することです。自然との一体感や宇宙意識の体験は、その人の内面を深め、その後の人生を豊かにします。