≪介護に人間関係の基本を見る≫
最近また、母が「補聴器が合わないのか、聞きにくい」と言う。以前もそんなことがあり、大病院で聴力検査を受けたが「補聴器はあっています」とドクターに言われた。
その後、補聴器の調整をしたら、「聞きにくい」とは言わなくなった
『今回また病院へ行っても「補聴器はあっています」と言われるだろうと思い、聴力障害もあるので京都市聴覚言語障害センターへ聴力検査を受けに行った。センターでは、通常の聴力検査の他に、骨伝導テストと言葉の聞き取りテストがある。通常の聴力検査は音が聞こえるか否かを調べるだけであるが、言葉の聞き取りテストは音が聞こえても言葉として認識できないケースなど、きめ細やかな検査ができると私は期待した。
結果、通常の聴力検査は数年前を大差はないが、言葉の聞き取りテストは35%とかなり低く、特に子音の聞き取り度は低かった。ときどき私を苛立たせる勘違いや早合点もこれが影響しているかと思うと、納得。「今は2/3まで届いた」「これでスタートラインまで来た」と落ち着いて対応できるようになった。情報過多は人の心を波立たせるが、的確な情報は必要であると痛感した。
最近の補聴器の進化は目覚ましく目を見張るものもあるが子音をアップさせるものは母の場合、宣伝の割には期待できそうにないらしい。センターの医師によると、「ゆっくり・一言ずつはっきりと・顔を見て確認しながら話すとよい」とのこと。これは対話の基本でもある。私の場合、重要なことは日時とキーワードを書く、メモ書きを始めている。
実は、私も小さいころ、出かける前に母や祖母からよく言われた言葉がこれである。病弱で声が小さいためそういわれ、心がけてきたが、いつの間にか、相手の顔や反応を見ずに何かしながら話をしたり、忙しいことを理由に早口になったり、相手にもわかるだろうと省略形で話を進めるようになっていた。特に最近ではメールで一方的に伝えることも少なくない。これでは相手に自分の気持ちを充分伝えることは難しく、また、相手の気持ちも充分くみ取ることができずにいたのではないかと今にして思う事が多い。
現代はこれでもかと思うほど、何もかも加速化されつつあるが、一番大事な人間関係を「ゆっくり・一言ずつはっきりと・顔を見て確認しながら話すこと」も必要と実感した。いつもいつもはできないけれど、時に呼吸を調えながら温かい気持ちで、大事な人との対話を丁寧にしたいと思う。
介護は大変なことが多いが、時にこのように人間として大事なことを優しくそぉ〜っと教えてくれる貴重な教師でもある。かけがえのないひと時を大切にしたいと強く思う。
このような体験を踏まえ、渡辺昧比は『介護者(ケアラー)のためのヨーガ』クラスを始めました。
少人数で深い癒しと気づきを得られるようなプログラムを作成、「少し楽になった」「優しい気持ちになれた」等の感想を頂いています。
1日体験もできます。
2014年4月1日
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[皆既日食]
ヨーガの一番の目的は、心が変化することです。自然との一体感や宇宙意識の体験は、その人の内面を深め、その後の人生を豊かにします。