≪ヨーガは人生を裨益(ひえき)するA≫
コロナが世界中に蔓延して1年半、誰しも「鎮静化」を望んではいるものの、「元に戻ることは難しいかもしれない」という声も少なくありません。
様々な状況が大きく変化し、1からは勿論、0からのスタートの可能性も考えにくいと思われます。
そこで言われることは、リニューアル、再構築、持続可能な再スタートです。
では、それはどのようにすれば可能でしょうか?
私の場合は、ヨーガをベースとして考えています。私が対象とするのは、特殊な方(天才!?)ではない普通の方で、リスクが少なく、実現可能で、妥当な方法です。
ヨーガはインド哲学をベースにした宏大深遠な思想ですが、同時に、普段の日常、日々の暮らしを豊かに、楽しく、楽に自分らしく過ごさせてくれる方法論でもあります。普段のレッスンの中で、アーサナ(ヨーガの体操)を通しての気づきを深めるアドバイスをしたり、呼吸法や瞑想を生活に生かすヒントをお話しするなど、ヨーガの非日常性を日常にも生かす工夫をお伝えすることもあります。特に昨今は、そのような話や実践法が好評なように思います。
例えば、5,6月は春咲き薔薇が美しい時期です。この季節特有の柔らかい青空とマッチして、季節も空気も優しく感じられます。このような薔薇を見つめる瞑想〔ばら瞑想〕を行いました。勿論、そのための準備をレッスンの前半に行っての導入です。いつもは淡いピンクの薔薇を使いますが、今回は、スタートという意味で白い薔薇を使いました。
薔薇を見つめていると、薔薇が変化して見える!それは心の変化を表します。
普段は【動禅】(動くメディテーション)としてのアーサナを中心に行いますが、改めて瞑想をしっかり行うと、【動禅】が深まる気がします。
終わった後は、皆さん、余韻を楽しみながら、微笑みの輪がいつも以上に拡がりました。
また、ある日は、後半、〔トラータカ〕を組み入れました。
〔トラータカ〕とは、元来は、水晶凝視など瞑想法として使われましたが、『ハタ・ヨーガ・プラディピカー』などには、浄化法として記され、その応用としてヨーガ療法では、眼筋の緊張と弛緩を繰り返すことにより、眼のリラクゼーションとしても高い評価を得ています。
更には、眼筋だけではなく、顔の表情筋も緊張と弛緩の繰り返してリラックスが深まり、生き生きとした表情を取り戻すことができます。
表情筋の効果は、美容上の効果、見た目がよくなるだけではありません。
ギリシャ悲劇に【ペルソナ】という仮面劇がありますが、このラテン語のpersonaから英語のperson〔人〕やpersonality〔人格〕が由来します。
「顔色を見る」という表現をしますが、顔の表情は、「心の状態を表す」とも言われます。
マスク生活で、顔の表情筋があまり使われなくなって久しく、劣化したままでは、うつ傾向に拍車がかかります。このあたりで、表情筋を蘇らせ、生き生きとした表情を取り戻すことは、美容上だけではなく、心の状態、日々の生活の張り合いにも影響すると思われます。
また本来、浄化法としての〔トラータカ〕は、集中することによって、雑念、わかっていてもこだわってしまう想いなどを「比較的スッキリと手放す」ことを可能とします。
その他、いつも行っているアーサナも、視点を替えて免疫力を高めるポイントを付け加えるなど、ヨーガによる身心の癒し効果も重要視しています。
何かにつけて欝々とし易くなる昨今、日々を喜びをもって自分らしい生活をしたいものです。ヨーガは、宏大深遠な思想ではありますが、何よりも「人生を裨益(ひえき)する」(山口恵照、大阪大学名誉教授)「その人の人生を優しく後押ししてくれる」方法論でもあります。
2021年7月1日
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[皆既日食]
ヨーガの一番の目的は、心が変化することです。自然との一体感や宇宙意識の体験は、その人の内面を深め、その後の人生を豊かにします。