≪覚醒≫
猛暑が続いた夏が遠のき、さわやかな風が心地よくなると、夏の疲れが出やすくなります。
ヨーガの受講生にも疲れを持ち越している方が多く、90分のレッスン後、「あぁ、楽になった」「気持ち いい!」という声や表情が見られます。
もちろん、ヨーガの実践で、「体がリラックスし、呼吸もゆったりとし、心も落ち着く」、といった、【調身・調息・調心】がおこることは確かです。それは大変すばらしいことですが、ヨーガの効果は、それだけではありません。
言葉にすると、硬い感じになりますが、ヨーガによる重要な効果の一つに、【覚醒】があります。
改めて考えると、私たちは日常生活で、本当に本質、真実、そのものをしっかりと観ているのでしょうか?無意識のうちに、[わたし色に染まった色眼鏡]で物事を、自分に都合よく観ていないでしょうか?
そのメガネの色がうっすらとしても、眼鏡の色がそのものに反映し、[わたし色に染まったもの]を認識し、それによって何かを判断し、行動へと移していることになります。こうして次第に本質からのズレは大きくなります。しかもこのズレを【Real】と認識することも少なくなく、ますます混乱が深まります。「何でこんなことが…」「何かおかしい」「〇〇のおかげでうまくいかない」と不審に思ったり、人のせいにする前に、その物事を真っ直ぐに観ているかを確認する必要があります。
【覚醒】はさまざまな解釈がありますが、私見では、その前提として、「リラックスした身心の状態がある、特にヨーガの目的〈心のはたらきが止滅〉へ向かっていること」が必要で、その上で、「透徹した眼差しで、そのもの・そのことを真っ直ぐに見つめること」と考えています。
よく譬えられることに、「湖面が波立っているうちはものが歪んで見える」ように、心のはたらきが穏やかになり、本来のものが見える状態が【覚醒】と考えます。身心が調って、エゴの色が薄れると、初めて真実が見える、真実に近づくことができます。ここでは、他者と共有できる領域が広く、おおらかな交流が生まれ、浄土と言うことも可能です。このような人が増えると、世界平和も実現可能と考えます。
2021年9月21日
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[皆既日食]
ヨーガの一番の目的は、心が変化することです。自然との一体感や宇宙意識の体験は、その人の内面を深め、その後の人生を豊かにします。