≪もの想う秋≫
日中の暑さは続くものの、夜、静かに瞑想すると、それまで気づかなかった虫の音が夜のしじまに響きわたります。
心が静かになっての、聴こえる音です。
「物事はハートで見なくちゃいけないっていうことなんだ。大切なことは、目に見えないのだよ。」ご存じ、サン・テグジュベリ著『星の王子さま』の一節ですが、心を静かにして初めて聞こえる音、言葉もありますね。
ヨーガや瞑想などで心が落ち着くと、自分自身がゆったりと拡がり、自然との一体感や他者との関係性が深まることによる深い喜びや、自己肯定感などに満たされることがあります。特に猛暑による身体のどよめきのような不安定感が遠のいた初秋は、自分自身に戻れる貴重なひと時かもしれません。
ヨーガの恩師、佐保田鶴治先生は、このような心境を「ヨーガによる幸せ感」と表現することがありました。自然に顔の表情筋が緩み、微笑んでいるような表情になり、脳も表情筋の変化を受けて、幸せを感じるとのことです。医学的にも、表情筋のリラックスにより、脳もリラックス、さらには心の深い領域にさえもリラックスは拡がるようです。
こうして一人の人間が心の深い領域も含めた平和を持つと、その平和は周囲にも影響し、拡がります。
大小様々な諍いの絶えない現在、「譲ると損する」と過剰に自己防御する傾向がありますが、これではますます対立を深めるばかりです。物事は大きくなると収めることが大変ですが、小さいうちに、些細なことから『調和』『和合』『赦す』ことを心がけるようしたいものです。
ゆったりとした呼吸(その背景にはリラックスした身体がありますが)を続けながらのリラックスした表情、愛と赦しのある微笑みは、自他との境界を越え、周囲、世界を愛のモードで包んでくれることでしょう。
パラダイムシフトが言われる昨今、一人一人が内的に平和な状態を作り、その波動を拡めていくことが世界を平和にし、喜びのある生活の基盤を作ることにつながると思います。
今こそ、一人一人のあり方が問われる時、真摯に自己に向き合いたいと思います。
2023年10月1日
< 最新のエッセイに戻る
[皆既日食]
ヨーガの一番の目的は、心が変化することです。自然との一体感や宇宙意識の体験は、その人の内面を深め、その後の人生を豊かにします。